不動産売買における契約不適合責任について解説します。
この記事では、契約不適合責任の概要から、瑕疵担保責任との違い、具体的な事例、不動産業者の注意点、買主の対応、トラブル事例と解決策、そして安心・安全な不動産取引のための対策までを網羅的に解説します。
この記事を読むことで、契約不適合責任に関する知識を深め、不動産売買のリスクを軽減し、安心して取引を進めることができるでしょう。

築年数の古い物件を売却予定だけど、告知義務ってどこまでしないといけないのかな?

不動産取引において、告知義務は非常に大切です。しっかりと確認しておきましょう。
この記事でわかること
契約不適合責任とは">不動産売買における契約不適合責任とは
不動産売買における契約不適合責任は、引き渡された不動産が契約内容と異なる場合に売主が負う責任を示す。
これは、種類、品質、数量が契約内容に適合しない場合に適用される。
民法改正により、従来の瑕疵担保責任から変更され、買主の保護が強化された。
契約不適合責任の概要
契約不適合責任は、買主が安心して不動産を購入できるよう、売主に対して一定の責任を課すものだ。
この責任により、不動産取引の安全性が高まる。
契約不適合責任では、買主は売主に対して、目的物の修補、代替物の引渡し、不足分の引渡しを請求できる。
これを追完請求という。
それでも契約不適合が解消されない場合、買主は代金減額請求や契約解除、損害賠償請求が可能だ。
瑕疵担保責任との違い
契約不適合責任は、2020年4月1日に施行された改正民法で、従来の瑕疵担保責任に代わって導入された。
瑕疵担保責任は、「隠れたる瑕疵」が対象であったのに対し、契約不適合責任は契約内容に適合しない場合に広く適用される。
また、買主が売主に対して行使できる権利も異なり、契約不適合責任では追完請求権や代金減額請求権が新たに認められた。
項目 | 瑕疵担保責任 | 契約不適合責任 |
---|---|---|
根拠法 | 民法(改正前) | 民法(改正後) |
対象となる不具合 | 隠れたる瑕疵(通常では発見できない欠陥) | 契約内容との不適合 |
買主の請求権 | 損害賠償請求、契約解除 | 追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除 |
権利行使期間 | 瑕疵を知ってから1年以内 | 契約不適合を知ってから1年以内に通知 |
責任の範囲 | 瑕疵の存在によって生じた損害 | 契約不適合によって生じた損害、修補費用、代替物調達費用 |
買主の保護 | 限定的 | 強化 |

契約不適合責任は、買主にとってより手厚い保護を与えてくれるものなのね!
具体例
契約不適合の具体例としては、以下のようなケースが挙げられる。
- 雨漏り: 中古住宅の売買契約において、契約書に記載されていなかった雨漏りが引き渡し後に発覚した場合
- シロアリ被害: 購入した物件にシロアリ被害があった場合
- 土壌汚染: 土地に土壌汚染があった場合
- 設備の故障: エアコン、給湯器などの設備が故障していた場合
- 契約と異なる面積: 土地や建物の面積が、契約書に記載された面積と異なっていた場合
- 騒音: 近隣からの騒音が著しく、契約時に説明がなかった場合
これらのケースでは、買主は売主に対して、修補請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除などの権利を行使できる。
契約不適合責任は、買主だけでなく売主にとっても重要な知識となる。
不動産会社は、専門家として、契約不適合責任に関する情報を適切に提供し、トラブルを未然に防ぐためのサポートが求められる。
不動産業者の物件調査における注意点
不動産売買において、不動産業者は専門家としての立場から、物件の状況を詳細に調査し、買主に対して正確な情報を提供する義務がある。
これは、契約不適合責任のリスクを軽減するために非常に重要なプロセスだ。
告知義務
告知義務とは、売主が買主に対して、契約内容や物件に関する重要な情報を告知しなければならない義務のことだ。

築年数の古い物件だけど、告知義務ってどこまでしないといけないのかな?

不動産取引において、告知義務は非常に大切です。しっかりと確認しておきましょう。
告知義務の内容は多岐にわたるが、主なものとして以下の項目が挙げられる。
項目 | 内容 |
---|---|
物件の物理的な欠陥 | 雨漏り、シロアリ被害、地盤沈下など |
法的規制 | 建築基準法違反、都市計画法上の制限など |
環境に関する問題 | 土壌汚染、騒音、悪臭など |
心理的な瑕疵 | 過去の事故・事件、近隣とのトラブルなど |
これらの情報は、買主が物件を購入するかどうかを判断する上で重要な要素となるため、不動産業者は売主から情報を収集し、正確に買主に伝える必要がある。
重要事項説明
重要事項説明とは、宅地建物取引業法に基づき、不動産会社が契約締結前に買主に対して行う、物件に関する重要な事項の説明のことだ。
重要事項説明では、物件の概要、権利関係、法令上の制限、取引条件など、多岐にわたる情報が提供される。
特に、契約不適合責任に関する事項は、買主にとって非常に重要な情報となるため、詳細な説明が求められる。
例えば、物件に瑕疵(かし)がある場合、その内容や程度、契約不適合責任の期間や免責事項などについて、明確に説明する必要がある。
インスペクション(建物状況調査)
インスペクションとは、建築の専門家が建物の劣化状況や不具合の有無を調査するもので、建物状況調査とも呼ばれる。
インスペクションを行うことで、買主は事前に物件の状態を把握し、購入後のリスクを軽減できる。
不動産業者は、インスペクションの結果を買主に正確に伝えるとともに、必要に応じて修繕や改修の提案を行う必要がある。
リスク軽減策
不動産売買におけるリスクを軽減するためには、以下の対策を検討する必要がある。
対策 | 内容 |
---|---|
契約不適合責任保険の加入 | 万が一、契約不適合責任が発生した場合に備え、保険に加入することを検討する |
免責特約の設定 | 売主と買主の合意のもと、契約不適合責任の一部または全部を免除する特約を設定する |
弁護士や不動産鑑定士などの専門家への相談 | 契約内容や物件に関する不安な点がある場合は、専門家に相談し、アドバイスを求める |
これらの対策を講じることで、不動産売買におけるリスクを最小限に抑え、安心して取引を進めることができる。
考えてみよう。
契約不適合責任が発生した場合の買主の対応
不動産の売買契約において、引き渡された物件が契約内容と異なる場合、買主は売主に対して契約不適合責任を追及できます。
民法改正により、買主の保護が強化され、様々な対応が可能になりました。
追完請求
追完請求とは、引き渡された不動産が契約内容に適合しない場合、買主が売主に対して、その不適合を解消するように求めることです。
具体的には、修補、代替物の引渡し、または不足分の引渡しを請求できます。

雨漏りが発覚した場合、売主に修繕を求めることは可能?

雨漏りの修繕費用の負担について、売主と買主で話し合いましょう。
- 修補請求: 雨漏りや設備の故障など、不具合の修繕を求めること
- 代替物引渡請求: 不適合なものが種類または品質に関して契約の内容に適合しない場合、代替物の引き渡しを求めること(ただし、不動産売買では稀なケース)
- 不足分の引渡請求: 数量が不足している場合に、不足分の引き渡しを求めること
代金減額請求
代金減額請求とは、追完請求を行ったにもかかわらず、売主が相当な期間内に追完しない場合や、追完が不可能な場合に、買主が売主に対して代金の減額を請求することです。

雨漏りの修繕を依頼したけど、対応してくれない場合はどうすればいいの?

まずは、売主と再度話し合い、それでも解決しない場合は、専門家への相談を検討しましょう。
- 減額交渉: 不適合の程度に応じて、売買代金の減額を交渉する
- 減額訴訟: 交渉がまとまらない場合、裁判所に減額を求める訴訟を起こす
損害賠償請求
損害賠償請求とは、契約不適合によって買主が損害を被った場合に、売主に対してその損害の賠償を請求することです。

雨漏りのせいで家具が壊れてしまった。損害賠償を請求できる?

雨漏りが原因で発生した損害については、賠償請求が可能です。
- 直接損害: 雨漏りによる家財の損害や修繕費用など、直接的な損害
- 間接損害: 雨漏りが原因で入居が遅れた場合の家賃や、精神的な苦痛に対する慰謝料など、間接的な損害
契約解除
契約解除とは、契約不適合が著しく、契約の目的を達成できない場合に、買主が売買契約を解除することです。
ただし、契約解除は、買主にとって最終的な手段であり、要件が厳格に定められています。

雨漏りがひどくて住めない場合、契約を解除できる?

雨漏りの程度によっては、契約解除も視野に入れることができます。
- 契約解除の要件: 契約不適合が著しく、契約の目的を達成できない場合に限られる
- 契約解除の効果: 売買契約が解除されると、売主は受領した代金を返還し、買主は不動産を返還する義務を負う
- 注意点: 契約解除は、買主にとって最終的な手段であり、慎重な判断が必要
契約不適合責任をめぐるトラブル事例と解決策
不動産売買における契約不適合責任は、物件の引き渡し後に契約内容と異なる点が見つかった場合に、売主が買主に対して負う責任を指す。
ここでは、実際のトラブル事例と、その解決策を具体的に見ていく。
事例1 雨漏り
中古住宅を購入したCさんが、入居後すぐに雨漏りに気づいたケースを考えてみよう。

雨漏りなんて聞いてない!どうすればいいの?

まずは落ち着いて、契約書を確認しましょう
雨漏りは、建物の主要な部分の欠陥であり、契約不適合に該当する可能性が高い。
項目 | 内容 |
---|---|
雨漏りの程度 | 天井や壁にシミができる程度から、水が滴るまで様々 |
原因 | 屋根の劣化、防水の不備、配管の破損など |
対応 | 売主への修補請求、損害賠償請求、契約解除など |
雨漏りの程度や原因を特定し、売主に通知することが重要となる。
売主が修補に応じない場合は、弁護士に相談することも視野に入れるべきだ。
事例2 シロアリ被害
一戸建てを購入したDさんが、購入後1年でシロアリ被害を発見したケース。

シロアリのせいで家がボロボロに!売主は何をしてくれるの?

シロアリ被害の状況を把握し、専門業者に調査を依頼しましょう
シロアリ被害は、建物の耐久性を著しく損なう可能性があり、契約不適合責任が問われるケースのひとつ。
項目 | 内容 |
---|---|
被害の程度 | 床下の木材の食害、柱の空洞化など |
原因 | 湿気の多い環境、古い木材の使用など |
対応 | 売主への損害賠償請求、契約解除など |
シロアリ駆除の費用や、被害箇所の修繕費用を売主に請求することが考えられる。
シロアリ被害の程度によっては、建物の価値が大きく下がるため、契約解除も視野に入れる必要があるだろう。
事例3 土壌汚染
土地を購入し、家を建てようとしたEさんが、土壌汚染が発覚したケース。

土壌汚染で家が建てられない!どうしたらいいの?

まずは、土壌汚染の調査結果を確認しましょう
土壌汚染は、健康被害を引き起こす可能性があり、土地の利用価値を著しく低下させるため、契約不適合に該当する。
項目 | 内容 |
---|---|
汚染物質 | 鉛、ヒ素、カドミウムなど |
汚染原因 | 過去の工場跡地、不法投棄など |
対応 | 売主への浄化費用の請求、契約解除など |
土壌汚染の浄化費用は高額になることが多いため、売主との交渉が難航する可能性もある。
弁護士や専門家と相談し、適切な対応策を検討する必要がある。
考えてみよう。
不動産取引は高額なため、トラブルが発生すると大きな損害につながる可能性がある。
契約不適合責任に関する知識を深め、リスクを回避することが重要である。
安心・安全な不動産取引のために
不動産取引は高額な取引であり、法律や税金などの専門知識が求められるため、安心・安全に進めるためには事前の準備と専門家への相談が不可欠だ。
専門家への相談
不動産取引を安全に進めるためには、弁護士、不動産鑑定士、司法書士などの専門家への相談が有益だ。

専門家って相談しづらいイメージがあるけど、どんな時に相談すればいいんだろう?

専門家はみなさんの強い味方です!気軽に相談してくださいね
専門家への相談は、以下のようなメリットがある。
メリット | 内容 |
---|---|
法的リスクの回避 | 契約内容のリーガルチェックや、トラブル発生時の対応についてアドバイスが受けられる |
適正な価格の把握 | 不動産鑑定士による鑑定評価で、適正な不動産価格を把握できる |
税金対策 | 不動産売買にかかる税金について、税理士に相談することで節税対策を講じられる |
複雑な手続きの代行 | 司法書士に登記手続きを代行してもらうことで、時間や手間を省ける |
精神的な安心感 | 専門家のアドバイスを受けることで、安心して取引を進められる |
不動産取引に不安を感じたら、専門家への相談を考えてみよう。
契約書チェックの重要性
契約書は、不動産売買における権利義務を明確にする重要な書類であり、契約書チェックを怠ると、後々トラブルに発展する可能性がある。
契約書チェックの際には、以下の点に注意する必要がある。
注意点 | 内容 |
---|---|
契約内容の正確性 | 売買対象となる不動産の表示、売買代金、支払い方法、引き渡し時期などが正確に記載されているかを確認する |
特約条項の確認 | 特約条項は、民法の原則に対する例外を定めるものであり、特に注意が必要だ。例えば、契約不適合責任の免責条項や、手付解除の条件などが記載されている |
権利関係の確認 | 抵当権や賃借権などの権利が設定されていないかを確認する。権利関係が複雑な場合は、専門家に相談することを推奨する |
契約解除の条件 | どのような場合に契約を解除できるかを確認する。手付解除、違約金、契約不適合責任による解除などがある |
印紙税の金額 | 契約書に貼付する印紙税の金額が正しいかを確認する。金額が間違っていると、過怠税が課される場合がある |
契約書の内容に不明な点や疑問点がある場合は、必ず不動産会社や弁護士に確認するようにしよう。
トラブル発生時の相談窓口
不動産取引は、高額な取引であるため、トラブルが発生するリスクも否定できない。

もしもの時に、どこに相談すればいいか分からなくて不安…

そんな時は、一人で悩まずに専門機関に相談しましょう!
トラブル発生時の相談窓口としては、以下のような機関がある。
相談窓口 | 内容 |
---|---|
都道府県の不動産相談窓口 | 不動産取引に関する一般的な相談に対応 |
消費者センター | 消費者からの苦情や相談に対応。事業者との交渉の仲介や、解決策の提案を行う |
弁護士会 | 法律相談に対応。弁護士を紹介してもらうことも可能 |
法テラス | 経済的に余裕がない人に対して、無料法律相談や弁護士費用の援助を行う |
ADR(裁判外紛争解決)機関 | 裁判によらない紛争解決を支援。不動産に関する専門家が仲介役を務める |
警察 | 詐欺や脅迫など、犯罪に巻き込まれた場合は警察に相談する |
相談窓口を事前に把握しておくことで、万が一の事態にも冷静に対処できる。
考えてみよう。
これらの情報を参考に、安心・安全な不動産取引を実現しよう。
よくある質問(FAQ)
契約不適合責任とは何ですか?
不動産売買で、引き渡された不動産が契約内容と異なっている場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。雨漏りやシロアリ被害などが該当します。
契約不適合責任と瑕疵担保責任の違いは何ですか?
瑕疵担保責任は「隠れた瑕疵」が対象でしたが、契約不適合責任は契約内容に適合しない場合に広く適用されます。また、買主の権利も拡充され、修補請求や代金減額請求などが可能になりました。
契約不適合の具体例にはどのようなものがありますか?
雨漏り、シロアリ被害、土壌汚染、設備の故障、契約と異なる面積、騒音などが挙げられます。これらの不具合が契約時に知らされていなかった場合、契約不適合に該当する可能性があります。
不動産業者は物件調査でどのような点に注意すべきですか?
告知義務を遵守し、物件の物理的な欠陥、法的規制、環境問題、心理的な瑕疵などを調査し、買主に正確に伝える必要があります。また、重要事項説明を丁寧に行い、インスペクション(建物状況調査)を実施することも重要です。
契約不適合責任が発生した場合、買主はどのような対応ができますか?
追完請求(修補、代替物の引渡し、不足分の引渡し)、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除などの対応が可能です。まずは売主に通知し、協議することが重要です。
契約不適合責任のリスクを軽減するためには、どのような対策がありますか?
契約不適合責任保険への加入、免責特約の設定、弁護士や不動産鑑定士などの専門家への相談などが考えられます。契約前にしっかりと対策を講じることが重要です。
まとめ
不動産売買における契約不適合責任は、引き渡された不動産が契約内容と異なる場合に売主が負う責任であり、買主を保護するために重要な制度です。
- 契約不適合責任は、雨漏りやシロアリ被害、土壌汚染など、様々なケースに適用される
- 不動産業者は、物件調査を通じて契約不適合のリスクを把握し、買主に正確な情報を提供する義務がある
- 買主は、契約不適合が発覚した場合、追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除などの権利を行使できる